神社の境内に点在する様々なものには、それぞれ特別な意味や役割があります。
鳥居や狛犬、御神木はもちろんのこと、大きな神社になると「手水舎」や「参道」などの名称も出てきます。
これらが何を意味しているのか、少し複雑に感じる方も多いかもしれません。
この記事では、神社にある様々なアイテムの名称とその意味を、とってもわかりやすくご紹介します。
神社に訪れたときに最初に目にするもの
神社の境内に設置されているアイテムは、一つ一つに深い意味が込められています。
その意味を知って、参拝をより一層楽しんでみませんか?
鳥居(とりい)
鳥居は神社には欠かせない存在で、私たちの世界と神様の世界をつなぐゲートの役割を担っています。
この鳥居があるかないかで、神社とお寺を見分けることができます。玄関の役割を果たすこの場所をくぐるときは、一礼をしてから進むと礼儀正しいとされています。
鳥居には種類があり、横棒が直線の神明鳥居や、端が上がっている明神鳥居などがあります。神社によって異なる形状や色の鳥居を見比べるのも、参拝の楽しみの一つです。
社号標(しゃごうひょう)
入口近くにある石の柱で、神社の名称や、国から特別な名前を授かった際の記録が刻まれています。
「〇〇神社」とシンプルに刻まれているものから、「式内社〇〇神社」や「官幣大社〇〇神社」といった格式を示す名称もあります。
特に「〇〇神宮」と書かれている場合は、神社の中でも最上級の神様が祀られていることを意味します。
ランクは以下の順番です。
神宮>宮>大社>大神宮>神社>社
ぜひ、次の参拝の際にはこの社号標にも注目してみてくださいね!
神門(しんもん)
鳥居や社号標と同様、神社の入口に設けられているのが神門です。
すべての神社にあるわけではありませんが、存在する場合は神様の家の玄関としての役割を果たしています。
二階建ての構造で、屋根が二階部分にも一階部分にもある場合は「二重門」と呼ばれ、屋根が二階部分にのみある場合は「楼門」と呼ばれています。
参道(さんどう)
これは鳥居から本殿に至るメインの道のことを指します。
砂利が敷かれたり、石が並べられたりしていることもあり、参拝の際にはこの道を通って進むのが一般的です。
しかし、参道の中央は神様が通る道とされているので、神様に敬意を表するため、道の端を歩くのが礼儀とされています。
灯籠(とうろう)
灯籠は古来からの照明器具で、昔は中にロウソクを灯して使っていました。
近年は電気式のものも多いですが、石で作られた灯籠は「献灯」とも呼ばれます。
足元には寄進者の名前が刻まれていることもあり、地域の人々や過去に参拝してご利益を受けた人々からの感謝のしるしとして捧げられています。
鳥居をくぐった先に見えるものたち
鳥居を抜けると、神社の境内にはさまざまな要素が目に入ってきます。それぞれに特別な意味や役割があり、神社の雰囲気を作り出しています。
制札(せいさつ)
戦国時代から存在する制札は、もともとは町の人々に禁止事項を知らせるために使われていました。
しかし、神社に設置されている制札には、その神社の由緒やお祭りの情報などが記されており、掲示板の役割を果たしています。
神社の歴史や参拝者に与えられるご利益などの情報が書かれていることも多く、見る価値ありです。
御神木(ごしんぼく)
「神依木」とも呼ばれる御神木は、その木に神様が宿るとされています。
多くは巨木で、しめ縄で飾られたり、特別に柵で囲まれたりしています。
ナギやモチノキ、スギなどが御神木として祀られていることが一般的です。
玉垣(たまがき)
玉垣は、神社の敷地や境内の建物を区切るために設けられるもので、「瑞垣」とも呼ばれています。
もし鳥居が神様の家の玄関ならば、玉垣はその家の外壁のようなものです。
木製のもの、石でできたものなど、素材に特に制限はありません。また、寄進した人の名前が刻まれていることもあります。
手水舎(ちょうずや/てみずや)
鳥居と本殿の中間に位置する手水舎は、参拝者が身を清めるための場所です。
日本の神様は清らかさを特に重んじるので、お参りの前にはここで手や口を清め、心身の穢れを洗い流す必要があります。
柄杓を使って水をすくい、身を清めましょう。
ただし、最近では感染症予防の観点から手水舎の利用が制限されていることもありますので、その場合は神社の指示に従ってください。
狛犬(こまいぬ)
本殿の近くや参道に位置する狛犬は、神様の使いとして魔除けの役割を果たしています。
神聖な神社の境内に不浄なものが侵入しないよう、見守っている存在です。
鳥居を入って右側にある口を開いた狛犬が「阿(あ)」、左側にある口を閉じた狛犬が「吽(うん)」と呼ばれています。
さらに、神社によっては狛犬以外の動物像が配置されていることもあり、伏見稲荷大社では狐、北野天満宮では牛が訪れる人を出迎えています。
神馬(じんめ)
昔から馬は、神様が願いを叶える際に乗り物として使う動物とされています。
日本の伝統では、神社で願い事をする際には馬を捧げ物として奉納していました。
現代では、実際に馬を飼うのが難しいため、神馬の像や絵馬でその役割を代行している場合がほとんどです。
一般的には白馬が神馬として選ばれることが多く、伊勢神宮のような大きな神社では、生の馬が祀られていることもあります。
鳥居を抜けてさらに進んだ先に見つけられるものたち
鳥居を抜けて奥深くへと進むと、さまざまなものが目に入ってきます。
それぞれに意味があり、神社での参拝をより豊かなものにしてくれます。
賽銭箱(さいせんばこ)
賽銭箱は、文字通りお賽銭を入れるための箱です。
多くの人はお参りの際、願い事をすると同時にお賽銭を入れることが多いですが、本来はその逆。お願い事が叶ったことへの感謝として、「ありがとうございます」と心からの感謝を込めてお賽銭を納めるのが正しい姿勢です。
お賽銭の金額はあくまで個人の気持ちですが、一般的には5~50円程度が一般的。
例えば「良い縁がありますように」と思いながら45円を納めるなど、自分なりの願いを込めてみるのも良いでしょう。
本坪鈴(ほんつぼすず)
賽銭箱の真上にあるのが、この大きな鈴です。
参拝の際には、この鈴についている鈴緒(素材は麻縄や縁起の良い五色布など)を揺らして音を出し、神様に自分の訪れを知らせます。
鈴を鳴らすことは古来より魔除けや開運に効果があるとされているので、特にご利益を期待する際は、心を込めて本坪鈴の音を天に響かせましょう。
マナーとしては、2、3回振るのが良いとされています。
献灯台(けんとうだい)
「献灯」とは、お寺や神社にロウソクを捧げること。
献灯台は、そのロウソクを供えるための設備です。
ロウソクの火は、亡くなった人々を天国へと導く送り火として、または不浄なものを清めるために灯されます。
お参りの際に必ず献灯を行う必要はありませんが、特別な日や追悼の意味を込めてロウソクを灯す人も多いです。
故人が安らかに天国へ旅立てるように、または心を清める意味で、ロウソクを静かに灯してみるのも一つの方法です。
神社の心臓部|それぞれの建物の意味と役割
神社には、神様と人々が交流するための特別な建物がいくつもあります。
それぞれの建物には、その存在意義や役割があります。ここでは、特に重要な建物をいくつかご紹介しましょう。
拝殿(はいでん)
拝殿は、参拝者が神様に祈りをささげるための建物です。
通常、本殿の手前に位置し、ここに賽銭箱や本坪鈴が設置されています。
拝殿と本殿が別々の建物として存在するのは、神社ならではの特色です。お寺では、これらが一つの建物に統合されているのが一般的です。
本殿(ほんでん)
本殿は、神様が宿るとされる最も神聖な場所で、ここに神様が祀られています。
拝殿が人々のための空間であるのに対し、本殿は純粋に神様のために存在する建物です。
そのため、一般の人々の立ち入りは基本的に制限されており、「神殿」とも呼ばれています。
神社の中で最も重要な場所であるため、境内の最も奥に位置しています。
御社殿(ごしゃでん)
御社殿とは、拝殿や本殿といった神社の主要な建物を総称して呼ぶ言葉です。
これらの建物が具体的にどの神様のために建てられたのか、その目的や背景を知りたい場合は、神主さんに尋ねたり、制札の情報をチェックするのが良いでしょう。
神社に纏わる貴重な話を聞くことができるかもしれませんよ。
参拝以外でも楽しめる神社内スポットの名称
神社での参拝はもちろん素晴らしい体験ですが、それ以外にも見て回れる魅力的なスポットがたくさんあります。
ここでは、参拝プラスアルファで楽しめるいくつかの場所をご紹介します。
授与所(じゅよしょ)
神様からのお力を分けてもらえる、お神札や絵馬、お守り、おみくじなどを販売している場所です。
ここでは、御朱印をいただいたり、ご祈祷を受けたりすることも可能です。
宮司さんや巫女さんが待機している「社務所」も、時には授与所と兼用されていることがありますので、訪れる際にはその点を注意してくださいね。
絵馬掛所(えまかけどころ)
授与所で購入した絵馬に自分の願いを記入し、この場所に奉納します。
願い事は個人的なものでOK。神社のテーマ(恋愛、金運、商売繁盛など)に合わせて願い事を書くと良いでしょう。
奉納された絵馬は、約1年間ここに掛けられた後、年末に行われる絵馬供養で焼き上げられます。
石碑(せきひ)
境内にある石碑は、その神社の歴史や縁のある歴史上の人物、有名な俳句などが刻まれています。
これらは記念碑とも呼ばれており、神社にまつわる貴重な情報が刻まれています。
ただ、石碑の文字は読むのが難しいことも多いため、横に設置されている説明板があれば、立ち止まって内容を確認するのがおすすめです。
境内社(けいだいしゃ)
御社殿に属さない、小さな社や祠を「境内社」と呼びます。
これらは、本殿に祀られている神様の配偶者や子供、また地域の守護神など、様々な神様が祀られている場所です。規模に応じて、「摂社」や「末社」と呼ばれることもあります。
これらの社は、神社の境内で重要な役割を果たしています。
神楽殿(かぐらでん)
日本の神様は、歌や踊り、演奏を楽しむ「歌舞音曲」を好むとされています。
そんな神様のために、神楽を奉納する専用の場所が神楽殿です。
夏祭りなどの賑やかな行事では、この神楽殿で伝統的な歌舞音曲が奏でられることがあります。
神楽殿の内部には日本画などの貴重な芸術作品が飾られていることもあるので、訪れた際はぜひ注目してみてください。
宝物殿(ほうもつでん)
宝物殿は、神社の祭りで使用されるお神輿や山車など、神様の乗り物を保管する場所です。
「宝物庫」とも呼ばれ、神社の歴史に関わる貴重な文献や神具が収められていることもあります。
大きな神社では、これらの宝物を一般に公開している場所もあるので、訪れる機会があれば内部を見学してみるのもおすすめです。
まとめ
今回は、神社に存在する様々な施設やそれぞれの役割についてご紹介しました。
神社によって様々な施設が存在しますが、これらを知ることで、神様や宮司さんに失礼なくお参りすることができます。
観光や初詣など、神社を訪れる機会があれば、ぜひ今回ご紹介した情報を参考にしてみてくださいね。